2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第4回 文盲に生きた時代③「遊牧の日々がつなぐ人と自然」後篇

ツァガンサル(お正月) これまでにも述べたように、1960年代から70年代にかけての中国では、物資に乏しく貧しい時代が続いていた。全国でたくさんの人々が栄養不良に陥り、飢えて死んでいく人も絶えなかった。そんな時代にありながら、私が暮らしていたトゥ…

第3回 文盲に生きた時代②「遊牧の日々がつなぐ人と自然」前篇

▼前回の記事はこちらです 家畜 政治学習の集会や家庭訪問調査にやってくる人民公社の幹部たちとの接触を除けば、コンシャンダック沙漠で過ごした幼い頃の世界に登場する人々、祖父母とトゥグルグ・アイルに住む4つの家族だけだった。しかし、日々の生活はそ…

第2回 文盲に生きた時代①「文化大革命の経験」

そもそも、なぜ私は文盲だったのか。読者のみなさんにそれを理解してもらうには、私が幼少期を過ごした頃の中国がどのような時代にあったのか、そこからまずお話しなければならない。 その頃の中国では、1966年にはじまった“文化大革命”と呼ばれる政治運動が…

第1回 はじまり

内モンゴルに生まれ、草原で育てられた私は、文字を知らないまま少年期を過ごした。正しくいえば、文字というものの存在は知っていたが、それはお坊さんや役人などごく一握りの人だけが操るかなり特殊なわざであって、私や私の周りにいた遊牧民の暮らしとは…

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