2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第9回 本との出会い④「小説から学んだこと」

▼前回の記事はこちらです 不安と希望 芸術学校の卒業を間近に控えるなか結核を患った私は、病室で隣り合わせた張さんから読み書きを教えてもらいながら入院生活を送った。当時は貴重だった輸入薬を処方してもらえたことで、病は順調に快方に向かっていた。張…

第8回 本との出会い③「読み書きを教えてくれた人」

▼前回の記事はこちらです 卒業制作 スタンダールの『赤と黒』と、張揚の『二回目の握手』。友人たちの朗読を通じて出会った小説はいずれも私を魅了し、世の中について考えるきっかけをくれた。ところが、週に1度の読書会を楽しみにどうにかやり過ごしてはい…

第7回  本との出会い②「朗読」

▼前回の記事はこちらです 『赤と黒』 1978年の秋、フフホトでの生活も3年目を迎えた。相変わらず読み書きは身につかないままだったが、幸いなことに友人に恵まれ、彼らの助けを借りてなんとか落伍することなく芸術学校に通い続けていた。とくに仲が良かった…

第6回 本との出会い①「街での暮らし」

束の間の母との暮らし 子ども時代を過ごした草原を後にした私は、シリンホトの街に住む母のもとで暮らしはじめた。本連載第2回で詳しく書いたように、私は乳飲み子の頃に政治的混乱に巻き込まれることを避けるため草原へと送られ、そのときから母とは離れば…

第5回 文盲に生きた時代④「草原との別れ、祖父母との別れ」

ウマのフフシンヘール 文化大革命がなお続いていた当時、放牧などの生産活動に必要な主だった道具や家畜は、人民公社ないし生産隊ごとに共同で管理されていた。私が暮らしていた地域でも、ウマの管理は政治的な“身分”のよい人のなかから選ばれた管理職員が担…

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