2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第43回 「森と草原を書く」  

夢と現実 大興安嶺での調査から帰国し、半月ほどが経った頃だったと思う。ある夜、祖父の夢を見た。祖父と私はモットオブルジェー(森にある冬のキャンプ地)にいた。初夏を思わせる日差しと風のもと、祖父はアルグ(牛糞を拾うための道具)をつくるための素…

第42回 「論文を書くこと、自分と闘うこと②」

エヴェンキ人とは誰か、民族とは何なのか なんとか2年間で修士課程を卒業し、1998年の春からは博士課程に進学することになった。進学先に迷うことはなく、文化人類学と出会うきっかけを与えてくれた金沢大学文化人類学研究室を志望した。 修士論文をまとめ…

第41回 「論文を書くこと、自分と闘うこと①」

大学院に進学してからは、休暇のたびに内モンゴル自治区ホロンバイル盟に通っては、中国語とモンゴル語で書かれたものを中心にさまざまな現地資料の収集を進めていった。エヴェンキ人やオロチョン人の民族誌や歴史文献、統計資料、そして調査中に書き溜めた…

第40回 コラム④「学問と思想」

大学院に進学してからというもの、日本語の力は目に見えて成長していった。アルバイトをクビにならないよう必死で会話力を身につけたときと同様、ハイペースで専門書を読みこなさねばならない授業についていこうと頑張るうちに読解力が磨かれたのだ。生来が…

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