2020-01-01から1年間の記事一覧

第66回 「文盲から文明へ、その向こうへ①」

今年の夏の初め、13年間を過ごした大阪を離れ、西播磨の山の麓での暮らしをはじめた。引っ越してからまだ2か月半だが、がらりと一変した日々のなかで、都会では目にも入らなかったこと、あるいはずっと忘れていたことがいかに多かったかを実感している。お…

第65回 「宴(であい)②」

オンライン飲み会 食べて、飲んで、わかる。わかるだけでなく、おいしい料理や酒の力も借りて互いの立場を忘れて楽しむうちに、そこに居合わせた人同士で何かを一緒にやろうというきっかけが生まれる。フィールドでももちろんそうだが、私にとって飲み会は、…

第64回 「宴(であい)①」

食べて、飲んで、わかる 本連載第54回でも触れたように、私は水俣と出会ったことで多くを学んだ。その一つに、飲んで食べることで地域を知るというわざがある。はじめて訪れたときからずっとお世話になっている吉本哲郎さんは、そこに「あるもの」のよさを見…

第63回 「生きること②」

心の声を聴き、自由に生きる ここまで連載を読んでくださった方はもうお分かりかと思うが、私は将来の目標といったものを自分から立てたことはなく、節目ごとに現れる人や本との出会いに導かれるようにして、これまでの人生を歩んできた。岐路に立ったときに…

第62回 「生きること①」

文明は紛れもなく人類が築きあげたものだが、私たちはそれを上手に飼い慣らせているだろうか。個人も社会も、日進月歩の速度で更新されていく道具やシステムに振り回され、追いつくだけでへとへとになっているように思う。高度に発達した科学技術に支えられ…

第61回 「地域に学び、地域とかかわる④」

▼前回までの記事はこちらです 野蛮だと眉を顰めて指さされることもあれば、自由奔放で素晴らしいと羨望の目を向けられることもある。そういう意味では、「不良」と少数民族は同じような立場に置かれているのかもしれない。この連載の前半で書いたように、草…

第60回 「地域に学び、地域とかかわる③」

▼前回までの記事はこちらです 「実践」が育む力 この連載の前半で紹介したように、私が少年から青年になる頃の中国は大きな変革期にあり、社会の秩序や人々の生活も安定してはいなかった。11歳で学校に通うため草原をあとにしたが、街に出たころは勉強よりも…

第59回 「地域に学び、地域とかかわる②」

▼前回の記事はこちらです 雲南との出会い 雲南を初めて訪れたのは2005年の晩秋、WWF(世界自然保護基金)の支援を受けて中国最大の環境保護NGOである「自然之友」が雲南北部の高原で始めた活動に、ボランティアとして参加したことがきっかけだった。寒さと乾…

第58回 「地域に学び、地域とかかわる①」

モンゴルでのフィールドスタディを実施しはじめてはや10年が経とうとしているが、私でかつて悩んだように、そして今でも悩むことがあるように、「地域に学ぶ」姿勢を学生に伝えるのは容易なことではない。私たちは異郷に足を踏み入れるとき、どうやっても色…

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